アイアムアヒーロー22巻最終巻のネタバレ感想と伏線回収考察

アイアムアヒーローはアイ・アム・レジェンド (ウィル・スミス主演のゾンビ映画)の日本版か！
というのが最終巻アイアムアヒーロー 22 を読んですぐの感想。
22巻に渡って映画の同人誌だったのか…？！と思うと、泣ける。

危惧した(アポカリプスの砦の感想記事)通り伏線回収ならず。
ああ……やっぱりか。

それでも、ドラゴンヘッドよりはがっかりしなかったのは、巨大ZQN、クルス、浅田教、カップル、眼帯おばちゃん、英雄、小田さん、比呂美ちゃん…が(意識も含め)一か所に集合し、それなりにそれぞれの決着をつけたからだと思う。

ZQNが何だったのか、どうして巨大化したのか、世界はどうなっているのか。
そういうことは一切明確には解明されていない。

宇宙人の陰謀？
女の子がZQNの主になるようにプログラムされていて、比呂美ちゃんが日本のZQNの主になった？
なんていうようにも読めるけど、どうだか。

あんまりそこは重要じゃない気がするんだよね。

ZQNは幻覚や夢、集合意識、それらを描くための装置に過ぎないんじゃないかな？

わたしの解釈だけど、英雄がヒーローとして生きるっていう、まさにタイトルそのものがこの漫画の本質であって、ZQN(ゾンビ)は重要じゃなかったんだと思う。

英雄は生き残って、生き続けていく。
カッコいいわけではないし、守るべき誰かがいるわけでもなくても。

自分を生かしていく。
自分で生きていく。
ヒーローインタビューを妄想したり自慰に耽ったり、いつかくるかもしれない救助を待ってみたり。
とにかく生きていく。

ゾンビ漫画じゃなくて、サバイバル漫画。

急にこの災難に巻き込まれた英雄の視点では、世界がどうなっているのかなんて知る由もない。
いつか自衛隊が助けに来てくれるかもしれないし、アメリカがトモダチ作戦で助けに来てくれるかもしれないし、宇宙人がやってきて今度こそ殺されるかもしれない。
それ以前に怪我や病気、飢え、肉食獣などによって生き続けられないかもしれない。

わからないまま、生きていく。
それがヒーローなんだと思う。

アイアムアヒーロー 22 (ビッグコミックス) [コミック]

それはそうとして。
せっかくなので伏線がどうなったのか、考察してみましょう。

ZQN
体液で感染。宇宙人の陰謀かもしれない。(イタリアのZQNの発言より)
くっついて巨大化。ZQNは意識が集合する。日本の場合は巨大掲示板のような世界観。
共有意識のような、自問自答のような。
その中で主っぽい立場がいて、日本の場合は比呂美ちゃん。
巨大化ZQNはお掃除ZQNなど新たな？ZQNを作ることもあれば停止して動かなくなることもある。
それは主の個性かもしれない。

世界はどうなった？
一定地域のZQNがくっついて巨大化して動かなくなって、活動的なZQNは消える。
か、新たなタイプのZQNがうまれる。
まあまあ平和かもしれない。
それなりに日常を取り戻し、英雄や離島に逃れた一派のような生き残りが日々をすごしている。
と想像。
どうなったのか、どうなるのか、作中ではまったく触れられていない。
世界の行方はみんなの心の中にあるんだよってことで。

漫画家コロリ
新作を鋭意執筆中。
鬼編集(島の子どもたち)の要求は高い。

小田さん
比呂美ちゃんが主のZQN意識は居心地が悪いので拒否。

小田さんの妹(なかみは弟)
ZQNになって小田さんの願い通り英雄を守る。
お姉ちゃんスキー。

巨大化ZQNの比呂美ちゃん
葛藤はあったけど英雄を助ける。
ビルにくっついて固まる。

浅田
浅田教信者の女に火炎放射器で燃やされる。
世紀末救世主伝説ならず。

クルス
寝たきりの爺さんだった。
人生のほとんどを夢の中ですごしていたおかげで、闇を知らない無邪気な闇そのものになる。

苫米地
離島で余生を過ごす。
愛妻家なので旧眼帯おばちゃん(今眼帯おねーさん)に種を提供する気は無い。

春樹と城カップル
春樹はZQNに感染後もZQNと戦い続ける。
城がヘリコプターにしがみついたおかげで眼帯おねーさんは救助され、かわりのように放られた斧によって落下してしまう。

眼帯おばちゃん
眼帯おねーさんになって産めよ増やせよ。
謎といえばこれほど謎な存在はないが、生きるってことは産めよ増やせよってことなんだと思う。
ひとりで生き続ける英雄とは別の、ヒーロー的存在。

まーくん
ばあちゃんの思い出を胸に離島で逞しく育つ。
彼もまたヒーロー的存在だと思う。

英雄
禿げてきた。
ブルース・ウィリスのようにもっと本格的に禿げあがったとき、真のヒーローになるのだろう。

飛び出し坊や
自動車で轢かれたり眉間を撃ち抜かれるも、銅像たちとともに英雄の良き友人。