『冬の祭り日』
坊ちゃんの稔は素敵なんだけど、すずなの気持ちを確認しないで勝手に「結婚する!」て決めちゃうのはいかがなものか。自信家か。モテすぎるとフラれるなんてこれっぽっちも思わないのか。
毎日すずなの下校に迎えにいくのもストーカーっぽくてホラー。
イケメン貴公子だから「きゃー!稔さまー」って言われてるけどさ、稔さま、暇人? その時間を勉学や武芸にかたむけないの?同世代の学友と親交を深めないの?
イケメンでお金持ちで人気者でも、稔さまってなんだかキモチワルイ。
身分は低いけど野生的な信吾のほうがいいよね。
『ファイアーフライ』のラスト、カメラマンのレインが街を歩いていると、カップルとすれ違います。「わたしにもあんなころがあった…」と死んだイブを思い出すのですが、そのカップル、女が男を「シオン」と呼んでいます。
よく見ると『ひとりぼっち流花』のルカとシオン。
こういうサプライズは嬉しいですね。
少年のような少女。身体が弱い。一瞬命の炎をもやしつくし早逝するっていうのは古い少女漫画の王道。
『なよたけ』
大和和紀
講談社
2014-06-27
両親を亡くした薄幸の少女・すずなは、亡き母の姉にあたる伯母の元へ引き取られるが、家を捨て駆け落ちした母の忘れがたみであるすずなに、大人たちの目は冷たかった。味方は2人の少年だけ。跡取り息子・稔と使用人の孫・信吾。3人は、幼いながらも美しい友情に結ばれるが、時は流れて───? 表題作の他、螢のように儚くも美しい女性を描く『ファイアーフライ』など、純愛をうたい上げる会心の叙情ロマン全3編を収録。