著者である一条ゆかりは玉の輿狙いの女を軽蔑しきっているのですが、玉の輿に情熱を燃やす可憐さんのことはとても愛らしく描いておられます。
ご自分の心情とは相容れないない生き方もある部分では認めているからこそ、嫌いな女のことも描けるんでしょうね。
可憐の金言
若さは消耗品の財産
玉の輿に乗りたい女性だけでなく、結婚願望のあるすべての女性に捧げたいお言葉です。
若いってだけで男は甘くなるし許してくれる、というのはこの世の数少ない真実の一つです。
歳をとるとつくづく思うのですが、「若さ」はほんとうに眩しい。
その輝きを浴びるとちょっとしたことなら許したくなっちゃうのです。
自らにもかつてあった懐かしい過去。
彼らに訪れる未来。
生き物としての瑞々しさ。
歳をとることにも素晴らしいことはいっぱいあるし、つまらないだけではないけど、やっぱり消えてしまう輝きの価値には敬意を払うのです。
ただ。
若さと美しさでゲット出来たとしてもそれで幸せになれるかどうかは別。
そこは白鹿野梨子さんが教えてくれています。
一番大切な信頼関係をまず築いてからでないと
お互いの人となりを知って信頼関係を結ぶ。
大事ですね。
選ばれるためには若さと美しさ。
それは前提で、人生をともに歩むにふさわしいかどうかは、しっかり両目を開けて吟味しなくては。
イケメンだとか王子様だとか、それだけでは結婚してもすぐに離婚です。
もちろん、それは男女逆にしても同じこと。
若くて美女だからって、話しが合うか金銭感覚が合うか食べ物の好みが合うか、生活するのにもっと大事なことが合わなければ、いつかは破綻するでしょう。
各著作を読めばわかることですが、著者は男にぶら下がって生きる女が大嫌い。
女らしさも美しさも維持しながら気概を盛って夢に向かって邁進する誇り高い女を志向しています。
つまり一条ゆかり先生ご本人自身のこと。
お金が欲しければ女が自分で稼ぐべし!男は可愛げがあればそれでいい。美味い飯ならわたしが奢ってやるわー!というのが一条ゆかり。
一条ゆかりは男に対して幻想を持てないから、そういう結論に到っちゃったんでしょうね。
一条ゆかりの描く男性は、可愛い馬鹿ばかり。
有能な冷血タイプ、優しいけど軽薄なタイプ、いい人だけど無能。
そしてみんな浮気性。
有能で色気があって魅力的な男は、絶対に一途ではない。
一途っぽいのは馬鹿か無能か不細工だけ。
男性はそういうものだと感じているなら、男に人生を任せてぶら下がって生きていくなんてハイリスクな生き方は選ぶわけがない。
玉の輿を夢見る可憐は、男のアレな部分を理解(若い美女が好き)しながらも、自分自身を磨くことによって真実の永遠の愛を得られるはず、という夢を抱く純粋さがあります。
著者はそんな幻想を持つなんてアホらしい、と思いながらも、男を信じることができる可憐のような女にちょっとだけ憧れがあるように思います。
そんな風に男を信じていたかった、と。