初登場シーンは浦島太郎にしか見えなかった染谷将太信長。
ミスキャストじゃね?
と思いながら見ていたけれど、回を追うごとに惹きつけられている。
今回、マムシの娘妻帰蝶と共闘するにいたっては、もうこの夫婦がヒーローヒロインにしか見えなかった。
どう見ても信長が主役。
マムシの斎藤道三もっくんとの対比がまばゆいほどだ。
新旧の怪物対決。
この物語主役が明智光秀だということを思い出せない。
十兵衛……?いたっけ?
マムシの部下に便利な使いっ走りがいたっけ?あれ?
妻の煕子も地味。
幼馴染?エピソードそれだけ?
薬屋のお駒も、なんかどうでもいい。
幼い頃に助けてくれた人が美濃の人っぽいとか興味ない。お駒の過去も十兵衛へのほのかな恋心も知ったことか。
根来衆を一声で集められるいろは大夫の方が背景が面白そう。
やっぱさ、大河は壮大であってほしいわけ!
好きだのなんだの惚れた腫れただのはトレンディードラマ(死語)に任せとけっ
権謀術数!
武功!
知略!
馬!槍!銃!汗!血!泥!
壮絶で残酷で、それでいて愛嬌もある!
そういうのがいいんじゃないかーっ
不敵な笑みで金の入った袋を目の前で…どさ!……どさ!!って落として交渉するマムシの娘のマムシ譲りの迫力よ。
特命係長パパ信秀が信長の話の通じなさに呆然としてたけど、そのあたりからね、染谷信長に夢中になってきたよね。
天真爛漫で市井の民とも泥だらけで交わりながら、一方でそれなりに親しく将棋など指していた少年竹千代の父の首級をとる。気さくに笑っていたかと思えば急に無言になって怒りを爆発させる。女の膝に甘えたり大声で泣いたりもする。
いままでの信長は恐怖の独裁者であることがクローズアップされすぎていたのかもしれない。
今回の大河で染谷将太の演技で、逆に己の先入観をかえりみる思いだ。
信長はおそれられていた。
しかし、それだけではなかった。
常人ではなかった、というその振り幅を、こんな風に解釈することもできるのだ。
すごいなぁ。
そして。
ああ、帰蝶さまがこんなに油断ならない女人になろうとは!
美濃の片隅で十兵衛とわーわーやって十兵衛母に甘えていた小娘時代は可愛いだけの女だと思っていたのに!
この手ごたえ!
ずっとこの夫婦を見ていたい……
と。
ここまで考えて思った。
あれ?
これ、長谷川博巳、大丈夫?
明智光秀、大丈夫?
今までは輝く名優(草刈正雄演じる真田の大殿とか、今回ならマムシの本木雅弘とか)がどんなに主役を喰う演技と存在感を示しても、途中で退場してくれた。
それまで頼りなく見えた主役も物語の中で成長し、後半はさすが主役!となった。
が。
だがしかし。
今回、信長は終盤までバリバリに活躍する。
史実に忠実ならば、信長が退場したら、光秀もすぐに退場してしまうのだ。
登場期間、ほぼ誤差。
この信長の向こうを張って、主役……演じられるんだろうか。
十兵衛、大丈夫?
主役、実質的に奪われちゃわない?
そんな心配すらしてしまう。
ついでに。
今回初登場の猿(本物)と秀吉な佐々木蔵之介。
これまた豊臣秀吉にまったく見えない。
どう見てもミスキャストに思える……
けど。
染谷将太信長でくるりんぱと手のひら返したわたしなので、佐々木蔵之介秀吉にもぐっとくるかもしれない。
背、高すぎだけど。