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Channel: [ridiaの書評]こんな本を読んだ。[読書感想文]
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烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ2 阿部智里

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金烏、若宮さまの美しい…描写が新宿に住む美貌の魔界医師めいてきた。

2冊読んで気付いたのは、このシリーズは平安王朝モノではない、ということ。
最初っから異世界ファンタジーミステリーって言ってるだろう!って話ですが、どうも平安王朝モノであってほしいという願望が先走っちゃって。

まったくの別世界の話なんだ、と割り切って考えればおもしろい。

主従がタメ語なのも、身分制が厳しいのに誰も彼も馴れ馴れしいのも、そういう文化の異世界なのだ。天上人をあんたと呼ぶのも、アメリカ人がBOSSをyouと呼ぶようなモノなのだ、たぶん。

この世界では人々は八咫烏で、人間の姿にも烏の姿にもなる。


日本サッカー協会のシンボルマークにも使われている八咫烏。
3本足の烏。

4本足の馬はいない。かわりにこの烏の姿をした八咫烏(貧乏で最下級の人間)が馬のような働きをしている。
馬(外見は黒い大きな3本足の烏)だけど中身は人間ってこと。

この馬の扱いが気になる。
愛馬とか言っちゃってる。
厩につないじゃう。

…中身、同じ人間なのに?
転身すれば人間の形に戻れるのに、馬(烏)の形のままで家畜のようにつないじゃうんだ?
おつかれさまー人間の形になって休憩所でお茶でもどうぞーってならないんだ?

うーん…
どういう感覚なんだろう?

貴族(宮烏)〉〉〉庶民(山烏)〉〉〉〉〉〉〉越えられない壁〉〉〉〉〉〉馬(の姿をした八咫烏)
ってこと?
身分が違いすぎてナチュラルに人間扱いしてないのかな?

本筋には関係ないけど前作からずっとこの違和感を引きずってる。
それともこれも何かの伏線なのか?

この八咫烏シリーズ、表面はファンタジーなんだけど話のつくりはガチガチのミステリー。

前巻でもラストにいきなり名探偵()が出てきて度肝をぬかれたけど、今回もしっかり謎解きネタばらしがあった。

意外ー!
別の人物を想像してたよ!

気になることや不満はあるけど、オチのつけかたがうまいからなんだかんだで納得させられてしまう。続きが読みたくなってしまう。

人物造形も、1巻よりはましになってる。

あいかわらず大量生産雛形通りのキャラばかりではあるけど、路近がイイ味だしてるから許す。
長束さまも好きだわ。

いまだに若宮さまが好きになれないのがキツイ。
雪哉にも萌えられない。
メインキャラにハマれないのが苦しい。

八咫烏シリーズ1巻の感想
烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ1


烏は主を選ばない (文春文庫)
阿部 智里
文藝春秋
2015-06-10



若宮と少年が挑む朝廷権力争い。人気シリーズ第二弾!
優秀な兄宮を退け日嗣の御子の座に就いた若宮に仕えることになった雪哉。だが周囲は敵だらけ、若宮の命を狙う輩も次々に現れ……。
人間の代わりに「八咫烏」の一族が住まう世界「山内」で、優秀な兄宮が廃嫡され、日嗣の御子の座についた若宮。世継ぎの后選びには大貴族の勢力争いが絡み、朝廷は一触即発の異常事態に陥る。そんな状況下で、若宮に仕えることになった少年・雪哉は、御身を狙う陰謀に孤立無援の宮廷で巻き込まれていく…。

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