今日更新のコミックDAYSで完結した『まじめな会社員』
ほとんど主人公の脳内での自問自答で進んでいくのだけれど、それがもうすんごいリアル。
大きな幸福も大きな不幸もないけど、心の中では大波小波、揺れに揺れている。
マンガなのにぜんぜんラッキーなことがおきない。
かといってびっくりするような奈落に落ちたりもしない。
ただただ、低空飛行な、ふつう。
まあまあいい感じのふつうじゃなくて、地味に削れていくタイプのふつう。
ずっと‘なにか’を求めて、追いかけたり諦めたり、やっぱり頑張ってみたり、ぐだぐだしたり、そんなのをずっと繰り返してる主人公。
ああ、わかる。
その「うまくいかなさ」「しょうもなさ」がヒリヒリする。
世の中、成功してる人、ちょっとイケてる人、センスがある人、オシャレな人、優しい人、いい人、素敵だなあと思う人はいっぱいいるのに、自分はどうしてそうなれないんだろう?
どれかいっこくらい自分にもあっていいと思うのに、その一個が見つからない。
どっちの方向に行けばいいのかもわからない。
あっちかな?わたしもコッチでイケるんじゃない?
イケてるグループに近づいて、自分も一瞬イケてる気分になったりして、だけどなんとなく馴染めなくて、どこかズレてて、どこか不自然で、結局やっぱりソコじゃなかったんだ、って思う。
美しくもなく特別面白く人間的に魅力があるわけでもない。
悪人じゃないしダメ人間というほど道を外れてもいないけど、それだけ。
凄いトクベツな人間になりたいなんて大それた望みを抱いてるわけじゃないけど、自分にもちょっとは、キラっと光るものが……どんな分野でかはわからないけど……なにか、なにかはあるんじゃない……?
誰だって、自分に期待したい。
かといって、絵に描いたようなハッピーな奇跡なんて、そうそうおこらないんだよね。