なんとなく読んじゃう益田ミリ。
今作はビジネスもの。
ある会社で働く3人のマリコの日常が描かれている。
矢部マリコが思ったこと、長沢マリコが思うこと、岡崎マリコが考えること。
同じ場面で3人のマリコが心でつぶやく。
会社に入って2年目、学生の余韻が残る20代のマリコ、岡崎マリコ。
会社に入って12年、中堅になった30代のマリコ、矢部マリコ。
会社に入って20年、管理職になっている同期もいる40代のマリコ、長沢マリコ。
社内処世術に長けている40代のマリコを、30代のマリコは複雑な気持ちで見つめ、20代のマリコは冷ややかにしている。
40代のマリコはトイレで20代マリコのおしっこの勢いのいい音に若さを感じる。
恋愛についてはほとんど触れられていないけれど、女としての扱われ方、みたいなものは、残酷なほどリアルに描かれている。
“うるおい”“彩り”“華やかさ”
20代のマリコと30代のマリコは飲み会に“女性要員”として招ばれるけれど、40代のマリコには声がかからない。20代のマリコはそのことに無頓着だけれど、30代のマリコはそのことを強く意識する。
40代のマリコは達観している。
30代のマリコは惑っている。
20代のマリコは敏感。
理想や希望や絶望みたいなくっきりとした原色の出来事の起こらない、小さな日常のなかで、ちょっとしたガッカリとか不安とか嬉しいが、パステルカラーで浮かんでは消える。
タイトルが「3人のマリコ」でも「会社のマリコさんたち」でもなく、「マリコ、うまくいくよ」なのが良い。
「うまくいくよ」
うん、きっと、うまくいく。