コンビニ人間 が面白かったので(コンビニ人間 村田沙耶香 感想記事 )
村田沙耶香作品を読んでみた。これが2冊目。殺人出産 てタイトルからして惹かれる。
ちなみに3冊目は消滅世界 に決定してる。早く読みたい。
村田沙耶香、クレイジー沙耶香って呼ばれているらしい。
それも納得。
とんでもない作家だわ。
これは本物だわ。
この村田沙耶香というひとの見ている風景、聞こえている音、息する世界は、われわれ凡人とは違う。
違う地平に立っている。
この奇妙な感覚は計算でつくりだせるものじゃない。
2冊目を読んで確信した。好きだわ。
殺人出産
表題作。
少子化が進んだ時代。避妊技術は粋を極め、望まぬ妊娠は消えた。同時に自然妊娠は壊滅状態に。性交は生殖のための行為ではなく純粋に快楽のためだけの行為となっていた。
人類を存続させるため、妊娠出産は尊い拷問となる。
人を殺しても死刑にはならない。「産刑」に処せられる。男でも老人でも、人工子宮を手術によって取り付けられ、奪った命の贖いにひたすら産ませられる。
殺人したかったら「産み人」となってもいい。10人出産したら1人殺してもいい。
これは刑罰ではない。奪う命のかわりに、先に命を産み出す「産み人」となれば社会に新しい生命を送り出してくれる尊い人として崇められる。
医療技術が進歩しても妊娠出産は命懸けで、大願成就の前に自らの命が尽きてしまうこともある。10人出産という高いハードル。多胎出産でもしなければ最短で10年。身を削り年月をかけそれでも「殺したい」と願う殺人は禁忌ではなくなった。
殺された人は「死に人」と呼ばれ、新たな生命を増やす贄となってくれたありがたい存在として感謝される。
人を殺す。
人に殺される。
その関係性は、命にリアルが薄れた世界で何より強い光を放つ。
常識は数年、数十年で変容し、憤る人間も時代の空気に変容し、いつしか非常識が新たな常識になっていく。
この瞬間世間で認められている常識が、明日もあさっても10年後も100年後も同じように常識であるとは限らない。
昆虫食が美容食として人気となり、蝉のスナック菓子が山積みされる。
流行に敏感な少女が口から喰いかけの触角や脚をはみ出させ、ボリボリ囓る。
翅をむしってクリームにトッピングする。
それが多数派なら、違和感を表明することさえむずかしい。
トリプル
読んでいるあいだずっとTHE B.B.B. が浮かんでしょうがなかった。 我意がゲイはいいけどオネエ言葉はガッカリしたなあ。獅子丸が英語だとヤバいっていう意味が今もわからない。スラングだとどんな意味になるんだろう。
価値観の過渡期。真弓のお母さんはカップルならいいけど…って言ってたけど、カップルならラブホテルに行っても良かったんだろうか。それはそれで問題な気がするんだけども。
トリプルのセックス、マウスのやり方は病気になりそうでソワソワした。
性病じゃなくて、中耳炎や眼炎。そりゃ口も目も耳も鼻も肛門も膣もぜんぶ穴だけどさ…一緒くたにしたら病気になっちゃうよ〜と。
清潔な結婚
こういう夫婦もアリだと思う。
クリーン・ブリードの代金1回9500円は高いのか安いのか…うーん、看護師3人の人件費を考えると格安 な気もするし…施される側として考えたらボッタクリな気もする。
クリーン・ブリード、やってることは喜劇。
「命の流れが旦那様から排出されます!」
余命
その時が来たならサヨウナラ。
逝く方はいいけど、遺される方はそうそう淡白に割り切れないと思う。
死に対する乾いた態度が星新一のショートショートみたい。
The B.B.B. 秋里和国 感想記事 書いてた。
途中までアメリカンフットボールのお話だった。
それが男と男、男と女、男と女と男と…としっちゃかめっちゃかな恋愛模様になっていくブッとんだ少女漫画。


