わたしは腐女子ではない(白目)んですが、
「ホモが嫌いな女子なんかいません!!!」
( げんしけん の大野さんの)名言を引用するまでもなく、漫画好きなら、とくに少女漫画を読んでいたら、BL(ボーイズラブ)は避けては通れません。
BLがまだやおいとよばれていた頃……あるいは、「薔薇」 「少年愛」「ソドミィ」などと呼称されていた時代を知っている世代としては、本屋さんでBLコーナーが拡大していくのを驚嘆のおもいで眺めていたものです。ってなんの思い出話しだか。
ちなみに同性愛のなかでも女性同士のものはGL(ガールズラブ)、そのむかしは「百合」「エス」「シスター」「レズ」と呼称されていました。百合は今も健在かな。最近は「ビアン」が一般的な呼び方になってるみたいですね。(聖★高校生 コミック からの知識)
他にも無性愛や両性愛、トランスジェンダー、ボクっ娘、男の娘、ケモナー、男装の麗人、両性具有、性役割違和……などなど、こういった LGBT(性的少数者)を扱った作品については、思想も傾向も著者や読者の情熱や欲望も萌えも限りなく多方向に放射しているので、一言ではとても語れません。
ですので、そこについてはスルーで。
ただただ、作品として、素晴らしい!!とわたしが感じた漫画のご紹介です。
BL専門レーベル作品については無知なのですべて一般の少女漫画雑誌に掲載された作品群です。
いつものことながら、古い作品に偏ってます。
名作すぎて有名すぎてはずせない。
風と木の詩
風と木の詩 (豪華版) 全9巻完結 [マーケットプレイス コミックセット] [コミック]
わたしが持ってるのはこの豪華版っていうのです。デカい。
スペースに余裕があれば、漫画という漫画はぜんぶこのくらいのサイズで見たいですね。
文庫サイズだと絵が潰れちゃってかなしい。
オーギュが好き。酷薄な美貌がたまらない。
ロスマリネとジュールの関係性も好きだった。
友だちになりたいのはパスカル。
セルジュとジルベールは、薄いガラスのように壊れやすくて傷つきやすくて、読んでいて苦しい。
後半は読み返したくない。
シリーズで読みたい。
TOMOI 眠れる森の美男
秋里和国はときどき傑作を描いてくれる。
(TOMOI の感想記事はこちら)
友井という男の不器用さ、生きづらさ、格好良さはシリーズを通して読んでわかることだと思う。
はじめの方はギャグっぽい。おバカっぽさとシリアスさの対比が光る。
最終話の余韻は漫画史に残すべき。
赤ちゃんと僕の羅川真里茂
ニューヨーク・ニューヨーク
ニューヨーク・ニューヨーク 1 (白泉社文庫) [Kindle版]
羅川真里茂
白泉社
2013-08-02
ニューヨーク・ニューヨーク 2 (白泉社文庫) [Kindle版]
羅川真里茂
白泉社
2013-08-02
ニューヨークというとLGBTに理解ある大都市のイメージがある。
でも、理解があるのと理解がある振りをしているのと、理解があるつもりだったのと、それらは近似にあって直面しなければ露わにならない根深いものがある。
同性愛者である当人ですら、 避けられない。
どう振る舞うのが正解なのか悩みながら演じてしまうのも、社会からの抑圧なのかもしれない。
友情以上恋愛以前
バナナフィッシュ
[まとめ買い] BANANA FISH(フラワーコミックス) [Kindle版]
吉田秋生
同性愛っていうと語弊があるかも。
でも、こういう、友情と境の曖昧な感情が滲む作品にこそ惹かれる。
アッシュの透徹した厳しい人生で、英二は特別な存在だった。
それは性嗜好とは関係ない。
かといって英二が女だったらアッシュにとってそういう存在になれたかというと、やはり難しかったと思う。
BLレーベルで大量生産される数多の漫画が悪いわけじゃないけど、BLありきだと男同士である意味が希薄になる。ときには女性の代替になっているだけだったりする。
違う。そうじゃないんだ。と言いたい。
異色すぎる歴史物
日出処の天子
山岸 凉子
白泉社
1994-03
聖徳太子が超能力者で同性愛者。(バイセクシャル)
どうよ、この一行の破壊力。
厩戸皇子と蘇我毛人(蝦夷)との恋愛を描こうという発想ができる山岸凉子はどうかしている(褒め言葉)。
同性への愛というより、渇愛を描いた作品かもしれない。
この時代の婚姻のドロドロさはフィクションじゃないのが怖い。系図を作ると眩暈がする。
グルメ漫画だけど深い
きのう何食べた?
よしなが ふみ
講談社
2007-11-22
同性愛を性愛の側面で語らないところが画期的。
男女でも男同士でも、付き合いや生活のなかでキスやセックスが占める割合はそんなに高くないものだと思う。共に食卓を囲んだり、仕事や近所付き合いの話をしたり、お金や将来を考えたり。
カミングアウト(自分が同性愛者だと告白すること)の必要性や危険性についても考えさせられる。
(感想記事はテーマ よしながふみ へ)
リアル感は一切無い。
絶愛シリーズ
絶愛-1989- 全5巻完結セット(マーガレットコミックス) [コミック] by 尾崎 南 [コミック] by 尾崎 南 [コミック] [Jan 01, ... [コミック]
尾崎 南
集英社
1991
キャプテン翼の同人誌(若島津×日向)じゃないかーいとツッコミたい。
日向×松山というカップリングを布教してくる友人(ガチ腐女子)に紹介された。
とにかく熱量が凄い。萌えが溢れ出て爆発している。
耽美さは随一。
第三の帝国もいいけどイチオシは兼次おじさまシリーズ
ストロベリー・デカダン 全3巻完結セット(花とゆめCOMICS) [-]
1988
幻想薔薇都市 (兼次おじさまシリーズ1) [Kindle版]
本橋馨子
朝日新聞出版
2014-05-31
愛するひと(太郎ちゃん)が連載開始時にすでに亡くなっているという斬新な設定。
太郎ちゃんの面影をのこす甥っ子(茂)への愛は肉親の情なのか?
兼次おじさまが過去を語るとき、曖昧に濁すところに美しさを感じる。
何かがあったのか。なかったのか。
それはその時を生きていた者だけが知る華麗な秘密。
(兼次おじさまシリーズの感想記事はこちら )
この愛をどう名づけるか?
トーマの心臓
トーマの心臓 コミック 全3巻完結セット (フラワーコミックス) [コミック]
萩尾 望都
小学館
1975-06-01
同性愛という括りに入るのかどうか。
愛に殉じたトーマ。
その愛をどう捉えるべきか、まだわたしに答えは出てこない。
ユーリやエーリク、ギムナジウムの少年たちとともにトーマを想う。
想うこと、おもいつづけてしまうことがトーマの願いだったと思う。
ギャグだけど感動する
海老原さん家は今日も大変!
東宮 千子
冬水社
2009-09-20
男同士の夫婦のもとで育つタイちゃんと一生は運命の相手。
男同士のカップルが常識の異常な世界観。
この世界では女子は常に傍観者なのである。
のちのBLの定型の原型とも言える、ゲイカップルがノーマルという空気を作った。
ドタバタでややSF。
しみじみ腐女子は心臓が弱い設定が大好物だと思う。