翻訳ものって読みづらいなあ。
エンタメ本とあったけど、目が滑ってなかなか読了できなかった。
一部の翻訳ものに特有の冗長な語り口苦手なんだよね。そのへんは飛ばし読みしてしまった。
本筋のところはとても面白かったから原文が読めたら違う感想を抱いたかもしれない。
日本語以外できないから比較しようもないけども。
人間が絶滅から種を救おうとする試み、自然保護は正義なのか?必要なのか?
キハンシヒキガエル、このカエルはアフリカ大陸の滝のそばで生きてきた。
山奥の秘境でひっそりと誰の目にもとまらずに。
水力発電のために調査隊が派遣され、発見されたカエル。
このカエルはここでしか生きられない。一年中大量の滝の飛沫を浴びなければ生きられない。
莫大な水量の瀑布がカエルの生命線だ。
莫大な水量だからこそ水力発電に適している。
このカエルは水力発電所をそのまま作ったのでは絶滅してしまう。
カエルを絶滅から救うために、滝の飛沫のようなスプレーを完備した研究所に完全滅菌の小部屋を作った。いつか自然環境下に戻れるようになる日までカエルは飼育される。
単純な自然保護運動家なら、水量発電所の建設に反対するかもしれない。
自然は自然のままに。
しかし、それが現地の貧困に繋がっているとしたら?
不安定な電力供給状況が、子どもが教育を受けられないこと、産業が振興できないことにつながっているとしたら?
手術中電気が切れて真っ暗になり、電子機器が止まる。
工場のラインが止まる。
信号が止まり、パソコンからデータが消える。
小さなカエルを生かすために費やされた金額、絶滅させないために24時間体制で費やされるコスト。
その費用があれば、同じアフリカに生まれた子どもが何人、何十人、何百人、大学に進学できるかしれない。
清潔な研究室で飼育されるカエルに降りかかる清浄な水と、現地の人がのむ濁った水。
希少なカエルは保護される。
そうして保護された動物は元の動物なのだろうか?
動物園などで飼育され繁殖させられている動物。
飛び方を忘れた鳥、狩りを忘れた肉食獣、それらは保護できていると言えるのか?
人間のとを借りなければ生殖できなくなってしまったとしたら?
遺伝子だけを取り出して、いつかそこからクローンを作り出したとして、その復活した動物は元の動物なのか。
ハワイの聖なる烏、アララは木の枝を使う文化を持っていた。
「絶滅」に際して研究者は烏を冷凍標本にした。
いつの日か、この冷凍したカラスから遺伝子を取り出し、復活させることができるかもしれない。
しかし、その復活したカラスは飛べるのだろうか?
木の枝を咥えて木の虚をつついて餌を探すだろうか?
ひとつの種が消えることにどんなデメリットがあるのだろう。
空を覆いつくすほどたくさんいたリョコウバトが絶滅したことは、恐竜やマンモスがいなくなったこととどんな違いがあるのか。
自然をコントロールしようとするのは傲慢だ。
クジラを保護しようにも、人間は彼らの泳ぐ深海までついていけず、寿命も彼らの方が長く、観察すらままならない。
かといって無秩序に乱獲し生息地を取り上げたのでは、サイもトラも居なくなってしまう。
自然保護は、種の保護は、何を目的とするのか。
何を理想とするのか。
問われているのはそこだと思う。
第1章 カエルの方舟(アーク)の行方
「飼育下繁殖」された生きものは自然に帰れるのか?
第2章 保護区で「キメラ」を追いかけて
異種交配で遺伝子を「強化」された生きものは元と同じか?
第3章 たった30年で進化した「砂漠の魚」
「保護」したつもりで絶滅に追いやっているとしたら?
第4章 1334号という名のクジラの謎 「気候変動」はどこまで生きものに影響を与えているのか?
第5章 聖なるカラスを凍らせて
「冷凍標本」で遺伝子を保護することに意味はあるか?
第6章 そのサイ、絶滅が先か、復活が先か
「iPS細胞」でクローンをつくれば絶滅は止められるのか?
第7章 リョコウバトの復活は近い?
「ゲノム編集」で絶滅した生きものを蘇らせることは可能か?
第8章 もう一度“人類の親戚”に会いたくて
「バイオテクノロジーの発展」がわたしたちに突きつける大きな問い
ネアンデルタール人を復活させようって発想がヤバイ