ゴールデンウィーク中にイッキ読み!
ひかわきょうこ作『彼方から』は雑誌掲載リアルタイムで読んでいたのですが、ちんぷんかんぷんでした。
ぼーっと生きているので当時は「意味わからん」と思うだけでしたが、全部読んでなぜわからなかったのかわかりました。
これ、休載しながら12年かけて完結してたんですね。
つまり、わたしは途中から途中までの飛び飛びでしか読んでなかったわけです。
まとまったエピソードを繋ぐタイプの長編漫画ならともかく、一貫してひとつの長い物語が続いているので飛び飛びでは楽しめなかったのねー
通して読んだら、なるほど名作!
いやあ、素晴らしかったです。
イザークの壁ドンは至高かもしれん……
大筋は非常にオーソドックスな異世界ファンタジー。
普通の女子高生ノリコが異世界に飛ばされて、そこでは自分は「目覚め」という特別な存在だった。
世界を滅ぼすという「天上鬼」の力を目覚めさせる鍵のような存在。
『王家の紋章』や『天は赤い河のほとり』と圧倒的に違うのは、登場人物が善人ばかりというところ。腹黒さゼロ。ウラオモテなし。
みんないい人……
悪者は悪者だけあって悪い奴らなんだけど、その悪さにも陰湿さがない。
正々堂々とした悪。
憂鬱なのは過去話に登場する嫌なエピソードくらい。
とにかくノリコの出会う人たちには毒がない。
だからノリコ目線で描かれるこの世界は、とても優しい。
それはノリコが優しいから、まっすぐだから。
ノリコはふつうの女の子で、それはずっと変わらない。
運動神経がいいわけじゃないし、器用でもないし、非力だし、目や鼻がいいわけでもない。
急成長もしない。
強運の持ち主でもない。
ただ、誠実。
できることが少なくてよく泣くけれど、目の前のやれることをしっかりとやっていく。
助けてもらったり優しくしてもらったら感謝して「ありがとう」と言い、できそうなことをさがし、なるたけお世話になった人に迷惑をかけないように、恩返しできるようにと、卑屈にならず言い訳をせず、等身大で最善を尽くす。
ノリコが異世界にきたとき、この世界はイヤな雰囲気が広がりつつあった。
志ある者、真面目な者が放逐され、奸臣がはびこり、些細なことで揉め事が起こる。
イライラピリピリした空気の中で、言葉は意地悪になり、不正が横行し、倦怠感が蔓延していた。
このままこの世はどんどん悪くなっていくらしい。
各国の有力な占い師たちは「天上鬼」が「目覚め」て闇の世界になってしまうと予言した。
だけど、「天上鬼」であるイザークも「目覚め」であるノリコも、そんなことは望んでいなかった。
何をどうしたらいいのかわからなくて、離れてみたり、色々試行錯誤するふたり。
旅で出会う人たち。
イザークとノリコに出会った人たちは、そんなふたりを見てくれていた。
できることを積み重ね、わからないことは聞いて、やれることをやっていくうちに、道が出来ていく。
イザーク
ツンデレサイコー!
初期のぶっきらぼうからの後期のあまーーーい「本気」の「からかい」たまらん。
笑い声の「はっ」っていうのもなんだかカッコイイ。
姫と騎士になりきっての「忠誠の誓い」とかとかとかさぁっ
あんなカッコイイ人にあんなんやられたらノリコじゃなくてもうしゃーてなるわ。
むくわれない美女タザシーナ
わたしこういう美女が憎めないんですよね。
雑念が多すぎて本来掴めるだろう幸福に気づかないタイプ。
美貌や才能に恵まれていても、それだけじゃあダメなんだよねえ。
幸せになってほしい。
ガーヤとゼーナ
ごつい姉妹。
問答無用の魅力がありますね!
強くて優しくて安定感抜群。
イザークが闇堕ちしなかったのはガーヤのおかげだと思う。
いい人に出会えるって大事。
ドロス
チモを育てるのが上手。
動物をうまく飼えるのは、やっぱり愛なんでしょうねー
「ありがとう」の大切さを改めて感じました。
もっと声に出していこう。
イルクツーレ
朝湯気の木の精霊。
朝湯気の木、っていうネーミングセンスが好き。
ほかの木の精霊もいるのかな。
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