三浦しをんのBL愛創作愛を感じた。
複雑な構造の小説で、作中にいくつかの劇中劇(べつの小説)が登場する。
主人公が腐女子(やおい作家)で、様々な問題を同人小説の執筆で解決……というのが筋。
社史編纂室なので仕事は社史を編纂することなのだが、会社の黒歴史を同人小説として創作するんである。
(なんちゅーあらすじだ)
架空の東南アジアの王国サリメニでの利権、閨閥、社内政争、女友だちとの微妙なマウンティングなど、シリアスに陰険に描こうと思えばいくらでも陰険陰湿に描ける内容だが、登場人物の根性が明るいのでほんわかと進んでいく。
(サリメニの同人サロンの女主人人身御供姫はデヴィ夫人ぽい)
オタクな人にはわかってもらえると思うのだけど、この小説に頻繁にでてくるオタク界隈の専門用語や豆知識がわかりすぎてざわざわする。
同人誌専門の印刷所!
箔押し!
合同誌!
コピー本!
スクリーントーン!
な、懐かしい……(白目
表紙と本紙の間に謎の透ける薄い化粧紙を挟んだなあ(白目
そうそう、お店組は一般入場者より早くコミケ会場に入れるんだよね。
サークルスペースっていう居場所(長机半分)もできるし、そこまで参加費が高いわけじゃないから便利なんだよねぇ。
スケッチブックに好きなキャラ描いてもらったり、馴れ合いが楽しいんだよね。
いつも見かける顔見知りもいて、お菓子分け合っこしたり。
……って、これは作品の感想じゃなくてただの思い出話だ。
それにしてもへたれおっさん(還暦間近)受けか……
ハイレベルな趣向だな。
(主人公のやおい小説の内容は会社のダメ上司がヒロイン)
BL小説の独特の雰囲気を久しぶりに味わうことができて楽しかった。
こんな感じだったわー
(ここ20年ほど専門レーベルのBLは読んでない)
BL漫画、BL小説を読んでいたとき、好きだったワードを思い出した。
「ぶっ壊れちまいそぉーだ」
(受けのセリフ)
気が強いオラオラ系美青年(受け)が天然気味イケメン(結果的に攻め)を押せ押せで落としたのち、いよいよ……という段階で意外にも!?という状況下で発っせられる言葉である。
どうでもいい告白だね。
どうでもいいついでに。
星間商事…というタイトルをせいかん(性感じゃないよ)と読んだわたしは当初SF小説だと勘違いしていた。惑星外文明時代の会社の社史をなぞることで宇宙で人類が繁栄する様をコメディータッチで描いた作品なのかと。
全然ちがった。
ほしま。