綱吉の苦悩はきっと現実世界の名家の男性にも通じるんだろうな。
心の底から助平でエロ大好き!って人間でも「後継ぎをつくらなくては・・」っていう義務感と「でもできない」っていう焦燥を道連れに来る日も来る日もセックスしつづけないといけないっていうのはつらいんじゃないかと思う。
現実世界では将軍様は男性なんだけど、男色家とかどーかって以前に「ただ性的に淡泊」ってひともいたと思う。
そういうタイプのひとは苦しかっただろうね。
いろんな趣向の美女がいたれりつくせり・・・っていう状況も嬉しいどころかプレッシャーなだけじゃないかな?
この大奥 第5巻
でも男たちは種馬の役割を担っているわけだけども、ヤリまくりの日々なわけだけども、みんなちっとも嬉しそうじゃない。
そりゃ相手は選べないし、気力や体力やナニやら奮い立たせなきゃいけないしぐったりもするわ。
性的なことって快感とか淫らな印象が強いけど、生殖行為なんだよね。
そしてこの「生殖行為」から全てははじまる。
男と女がいて子どもを作ってそのこどもが成長して社会(政治も経済も文化も)をつくっていく、そしてまたこどもを作って…歴史を紡いでいく。
男と女がふつうにこどもを作れなくなった世界。
大奥の外では、少数の男に多数の女。
大奥の内では、一人の女に多数の男。
「生殖行為」がそのまま(次代をつなげるための)子を作る「生殖行為」で、でもそれには感情もついてくるし、老化や美醜や匂いやらがあるそれぞれの肉体で行われる。
これ以上はないくらい重要で必要なことなのにどこか滑稽で、かなしい。
少子化、不妊不育、コンカツ・・・そういう現代の空気のなかから生まれた作品なんだろうな。
ちなみに、最初にこのシリーズを雑誌でチラ見したときは
「男女逆転の大奥って・・・美男ばっかりのハーレムで♂×♂やりたいだけ???」
って思っちゃいました。