極悪鳥になる夢を見る 貴志祐介エッセイ集 を読んだ。
内容はごった混ぜ。
紀行文もあれば作品解説や裏話のようなものもあり、ホラー小話っぽいエッセイもある。
新世界より についてが一番好き。架空生物への名付けのあれこれやら、着想を得た幻の処女作だった話やら。ファンにはたまらないエピソードだった。
黒い家 の裏話のような老女の話にはゾッとした。夏に読むには涼しくなりそうな完成した怪談だ。ノンフィクション風フィクションかな?貴志祐介らしくて面白かった。
逆に最後まで読めなかったのが野球関連記事。
イチローと落合博満くらいしか知らない野球オンチにはわけがわからなかった。
井端荒木立浪岩瀬…あたりの時代の中日ドラゴンズならちょっとはわかるんだけど。
時系列もバラバラ。
十三番目の人格 ISOLA 以前の売れなかった時代。会社員時代。売れっ子になってから。
香港の食堂の話や台湾の食事の話など、食レポもあった。
原作小説の映画版にカメオ出演した話、鈴虫飼育日記は別の意味で蟻走感があった。
エッセイを書くことの少ない作家さんだから一冊に纏めるだけの分量にするには、あっちこっちからかき集めなければならなかったんだろうな。
本当になるのかどうか、最初で最後のエッセイ集、らしい。
この手の最初で最後…くらい信用ならない煽り文句もないけどね。
誰が読んでも楽しめるエッセイ集とは言えない。
貴志祐介の小説をそれなりに読んでないとわからない話も多い。
本人も言っている通り、エッセイストにはなれそうもない。
でもまあ、貴志祐介作品を読みまくっているひとなら楽しめると思う。
貴志 祐介
青土社
2013-09-20
内容説明
『青の炎』『新世界より』『悪の教典』…緻密な作品群を生みだし続ける知性の意外な素顔。待望の第1エッセイ集。
目次
- 針金
- 環
- 悪役の特権
- 鈴虫の王
- 架空の生き物に命名について
- なぜ緑色の哺乳類はいないのか
- なぜ、エスパーは、少女でなければならないか
- 女が?虎が?
- 偽ドキュメンタリーの真実
- 初出演〔ほか〕

映画出演に味を占めた貴志祐介。
自作の映画化には必ずカメオ出演するのだった。
悪の教典には古典教師役(けっこう重要な役)で出演。
エキストラレベルからどんどん前へ前へといっている。
今後、ヘタしたら準主役級あたりまでいくんじゃないか…?

