2018年一発目のご紹介。
1986年発行の始末人シリーズ第一弾「明朗健全始末人」でございます。
表紙は正しい少女漫画風。
もっともこの女の子、「純愛可憐始末人」で白市さん(主役のひとり)の大切な生さんま(自転車)を破壊する性悪のアバズレ。アバズレって表現も今日日ききませんが、アバズレって感じの娘なのです。
始末人シリーズは、闇の始末人が依頼人のかわりにはらせぬ恨みをはらす(代理殺人)物語。
現代の必殺仕事人ですね。
必殺仕事人の例えも古いか。今も単発でスペシャル放送やってるから知ってる人多いはず……わたしのイメージは京本政樹で止まってるけど。
メインメンバーは白市高屋さん、河内入野くん、小鳥さん。
白市さんは黒髪長髪大男美形の大学生、入野くんはくせ毛美少年高校生、小鳥さんはダチョウです。
コードネームは白市さんがプレシャスブラッド。
新券の万札で頸動脈を切り裂く方式なので、飛び散る美しい血をイメージ。
入野くんのコードネームはブラッディ・キティちゃん。
キティちゃんのソーイングセットを使用。趣味もお裁縫。
小鳥さんはダチョウらしく蹴りで始末をつけます。
コードネームはブルーアイズ。小鳥さんの美しい目にちなんでいます。
物語はオムニバス形式で、ストーリーごとにはらせぬ恨みをもった依頼人と恨まれる相手が登場します。
この始末人シリーズの第1話は「明朗健全始末人」
心を病んだ人に愛される惣田絵美子が主人公。
汚物を投げつけられたり服を破られたりブリーフに血で書いたラブレターを渡されたり…というような愛され方をされがち。
片思いが高じて自殺や自殺未遂するひとも多数。
惣田絵美子の殺人依頼を受けた入野くんがうっかり対象者である絵美子と親しくなってしまって……というお話。
「純愛可憐始末人」
親の遺言を違えると自殺してしまうっていう深層心理を利用した殺人。
「自転車のハンドルを盗まれてはいけない。ハンドルだけならまだ良しとして、決してそのうえ荷台とライトをとられるようなそんなことがあっては決してならない!」
「下着を盗まれちゃいけない」
そんな親の遺言。
高屋さんの愛車「生さんま」は自転車盗難のカモフラージュでついでにハンドルを盗まれたのでした。
「滋養強壮始末人」
小鳥さんが初登場。
なぜダチョウの小鳥さんが始末人になることになったのか。
せつなくも美しい愛情の物語です。
滋養強壮は浜名湖のうなぎ(を模した象牙細工「浜名湖の涙」)からきていると思う。
うなぎは滋養がつくから。
そんなウナギが絶滅危惧種だなんて!
ひつまぶしの未来はどうなる!
(シラスウナギの稚魚が壊滅的不漁らしいってニュースを見た2018年)
「友愛努力始末人」
美女で性格が腐った麗子様が主人公。
性格が腐ってるので人に恨まれます。
わたしはアホの雅彦がすきですね。
鳥はすべてスズメだし、スズメをスルメと勘違いしてるけど。
とても美味しそうにおにぎりをたべる。
雅彦は小鳥さんが仕事(殺人)した現場を目撃したので刑事さんにガードされてます。
仕事を目撃された始末人一派としては雅彦の口封じをしなくては…ってところ。
明智抄のまんがでは美人は性格が腐ってるかひらがなでしかしゃべられない白痴気味か変態か変人です。
そして不細工はイジメられ虐げられます。
ちなみに白市さんは変態で入野くんは変人だと思います。
白市高屋さんが表紙の新装丁も素敵です。